思ったよりも面白かったです。ラストの総力戦は「ジョジョ3部」や「うしおととら」を彷彿とさせました。ただ個人的には柱が9人は多かった気が。何人か見分けがつかないし設定も覚えていない。技も名前を言っているだけで違いが分からないのは気になるところでした。
本作の最大の評価点は、分かり易さとテンポの良さに尽きます。
よく王道という言葉をこの作品の評価で目にしますが、それは"誰もが共感し得る"ポイントを外していないということ。
主人公が挫折しても無駄にクヨクヨせず、自身が果たさなければならない目的に向かって寄り道をせずに「成すべきこと成す」、全体で芯の通った作品です。
老若男女問わず、それこそ普段漫画を読まない人にとっての入り口としても、本当に誰にでもおススメが出来る作品だと思います。
以下主観です。
・キャラクターの魅力
本作でまず気になったのがキャラクターの魅力の描き方について。
意図したものかはわかりませんが、キャラ全体を通して非常にトゲが少なく、誰にでも好かれる(嫌われない)要素を持った人物が多いです。
人格がコロコロ変わってしまっても不自然ですが、"緩急"というものは魅力を付ける部分である程度必要だとは思っていて、そのキャラの"尖っている"部分が
最初は誰にも理解されなかったけど、展開が進むにつれて"尖っていたからこそ"カッコいい、となるような側面が無い。
実際はそういう緩急を持ったキャラは敵味方両サイドにいるが、ワンシーン挟んで180°ガラッと変わってしまうという意味で印象が変わりすぎるところがあります。
(冒頭のテンポという要素とトレードオフではありますが)
鬼サイドのバックボーンがわかりやすい例ですね。
・展開の波
展開自体は確実に核心へと進み続けているはずなのに、中盤からその盛り上がりが打ち止めになっている感が否めない。
むしろそのような状態に陥ると、盛り下がることが多いのですがしっかり最大をキープしたままゴールイン(完結)したという感覚。
長尺の少年漫画で「いつ完結するんだ・・・」とダラダラ連載が続いている漫画に比して、むしろ清々しくて良いくらいですが、
微弱な山有り谷有りで後半につれて"印象"が残りにくいというのが正直なところ。
・アクション(戦闘)
アニメ放映開始をこと切りに、爆発的人気が出たのはこの要素が大きいと思います。
本作品の戦闘シーンは弱者が圧倒的強者に挑むという構図から、アドリブでのアイディア勝負になることが多く、多彩で面白くはあるのですが
"鬼気迫る迫力"や"鬼を殺した"といった爆発感に欠けると感じました。画力が追い付いていないということではなく、作風とのマッチだと思います。
アニメは映像でしか成しえない表現を巧みに使い、原作の独特な作風や表現を維持しながら、とても見ごたえのある出来となっていたので。
もっと個人的な趣向の話をしてしまうと、刀剣アクションということで戦闘における術理をもう少しそれぞれの呼吸法と絡めて深堀りして欲しかった。
(例えば「水の呼吸」が相手の攻撃を受け流すスタイルに優れていたとして、踏み込む間合いや体重移動の訓練を人並み以上に積まなければならない、など。。。)
・セリフ回し
セリフ回しが下手、とかではなく。
冒頭で言った通り分かり易さに関して突出しているため、そこまで複雑な展開にはなっていないのに、やたら説明的で少し丁寧すぎるセリフや心理描写が多い。
そのまま扉絵にしてしまえるような、簡潔でバシッとキマる表現があれば、このシーンが最高だ!と語らえる作品になったと思うのですがこの独特さは肌に合わなかったかも。
自分は捻くれていると思っています。
全巻読了
創作物に影響を受けることはよくあるかと思います。
「大義(正義)のために(自己)犠牲をすることは意味がある」とセリフや価値観がよくでてきて、
もし現実の自身の思想にも反映すると、苦しい環境に身を置いている際にその状況を敵とみなして我慢し無理して抗う道を選ぶ理由に使っちゃうかも、と思いました。
なんか戦時中みたい…コワイヨと私は受け取ってしまいました。(世間に鬼が出てきて食われる世界観だから仕方ないけど)
まあ、そんなことを除いて鑑賞すれば、
絵柄・服装デザイン・場面描写・感情描写の点に新鮮さを感じました。
他に同作者の短編も読みましたが、漫画雑誌『ガロ』みたいなレトロ薄暗さを感じ、本作もそんなようなものがエッセンスになっていると思います。
・絵柄:
少女漫画みたいな細くて途切れる線で柔らかさがあり(特に初期)、顔や目も丸くて可愛げがある
キャラデザの王道さ&髪の描き方&女性の身体描写(高橋留美子さんの造形みたいな)
単行本の各話扉絵の画面構成が、浮世絵木版みたいで上手い
・服装デザイン:
あえて手描きしている着物柄の華やかさ(特に女性キャラ)や、帯小物や装飾品の描き込みを徹底している
・場面描写:
同人誌やオタク目線のような細やかな丁寧さで「キャラ対キャラのちょっとした交流」や「ひとりごと」がいちいち描いてある(小コマや、単行本では各話ごとの間頁など)
・感情描写:多くの読者が印象的に感じているであろう「どんなキャラにも背景が必ずある」と必ず伝える
現在出ている21巻まで、全て読んでいます。(単行本派のため、最終回などは未読)
物語のテンポが良く、ありがちですが強さインフレの展開が好きです。あとはそれぞれの鬼と主要キャラクターたちの背景が描かれている部分も。
最終回が単行本化されるのが楽しみ。
序盤、中盤は王道的な展開で、新しさを感じず、何が面白いのか全く分からなかった。
終盤になると主要キャラたちの過去がある程度掘り下げられ、各種キャラたちのルーツ信念思いアイデンティティが伝わり、感情移入しやすくなった。 そのため各種キャラと因縁の敵の戦闘シーンにおける熱意が伝わり、緊迫感が生まれた。
ということで個人的に序盤、中盤は面白く感じなかったが、終盤(無限城突入以降)は本誌でも熱心に追うほどには面白かった。
あと主人公の因縁の敵である鬼舞辻無惨が登場しているシーンは、キャラデザの良さとラスボスとしての強キャラ感が相まって、大体面白かった。
登場人物たちのモノローグが多くて説明的なのがいまいちハマらなかった。バトルシーンはわかりづらいシーンもあったけどここ一番の見せ場とかは上手いと思った。後半は表情もこだわってたと思うので結構好きな絵です。
漫画普段読まない層にもかなり広まってたので読んでみたんですけど、ここまで人気が出てなかったら一巻で切ってたかもしれないです。個人的に柱が出てきたあたりからちょっと面白いかもと思ったので、アニメで人気が出たっぽいのが不思議でした。作画はすごかったですけど。
一番良いと思ったのは終盤でラスボスに向かって主人公サイドが全員で総攻撃するところです。クライマックスって感じでワクワクしました。
原作ラストには特に何も感じませんでした。
アニメだと戦闘シーンが派手に美しく描かれているけれど、漫画はゴチャゴチャしていて誰がどこを攻撃したのかわかりにくい(後半はキレイ)
あと、とんでも設定が多くて僕は好きじゃない。何で死者が生者に干渉出来るのか、何でいきなり他者の回想シーンが主人公で流れるのかがよくわからないまま終わった。細部まで気にならない人はいいかもしれない。