備忘録
作中のドラマと主人公の周りで起こる出来事を少し関連させることで、ストーリーやキャラクターの心情を理解しやすくさせ、そして現実と虚構をぐるぐる行ったり来たりする描写で、見ている側が訳が分からなくなるほど切り替えることで、主人公の心情に入り込めるし、鏡やガラスにもう一人の自分を描き主人公と言葉を交わすことで心の内の葛藤、主人公がアイドルである自分と女優である自分が乖離して、だんだん本当の自分が分からなくなっていく様子が怖いほど伝わってきた。作画が少し古いのもより怖さに拍車をかけていた。
ストーリーがいまいちわかりづらかった。キャラクターの行動も疑問に思うところがいくつもあった。
二時間とちょっとの映画にいろんな要素を詰め込みすぎた感がある。
とはいえ、映像と音楽は素晴らしかった。特に音楽は常田大希がプロデュースしているだけあって、今までに聞いたことのないメロディーと歌詞で<U>の世界観にピッタリ合った、インターネットの規模の大きさを表すような壮大で美しい曲ばかりだった。
ストーリーのわかりやすく、テンポが良い、あとキャラに癖がないので見やすく面白い。
いくつか引っかかることはあるが、全体を通して喜怒哀楽、感情揺さぶられ何度見ても退屈しない映画。
人間はもともと心に闇(怒りや憎しみといった負の感情)を抱えており、その闇に飲まれてしまう弱い生き物である。
でも、周りの友人や恋人、家族などの間で互いに支えあうことで、闇を抑え、互いに足りないところを補え合える。
そんなことを、渋天街での九太と熊徹の修行や、現世での蓮と楓の付き合いを見て思った。
資本主義による格差社会と人の本能を表現した映画。縦社会をうまく可視化して、極限状態の人間の演技も切羽詰まって生きるために何でもするという勢いが伝わってとても引き込まれた。
上に立つ人は自分の利益しか考えず、下の人はただただ苦しい思いをし、生きるために同じ境遇の人同士の争いを生む。稀に下の人を思い救おうとする者も現れるが一時的な救いでしかなく、その上自分自身も社会から転落してしまう。という厳しい現実に一石を投じていると思った。
カニバリズム、暴力、自殺など、過激な描写が多かったり、ラストシーンのところで好みが分かれそうだが、個人的には納得のいく映画だった。
この映画に出てくる人物はそれぞれ異なる弱いところを持っている。
なので、視聴者みんなに思い当たる部分を突き付けてくるので,映画の人物を通して、自分自身を見つめ直し、自分の弱さと向き合う機会を与えてくれる映画。
そして、いじめや差別、人との向き合い方や,死について考えさせられる。
重いテーマだが生きる上で、向き合っていく必要のあるテーマだと思う。