変態パズルの製作に特化した「Zachtronics」というスタジオがあります。このスタジオによって製作されるパズルゲームが持つ最たる特徴としては「解くのは簡単、エレガントに解くのは至難」というのを挙げることができます。例えば「TIS-100」や「SHENZHEN I/O」というゲームにおいては、ゲームから「ある入力に対し、指定された処理を行って出力しろ」といった課題が提供されるのですが、それをこなすためにプレイヤーが行う操作はキャラクターの移動などではなく、なんとプログラミングです。プレイヤーは簡易的なアセンブリ言語を使用して、指定された処理を書かなきゃならんわけです。これにより「解くだけならば簡単だが、エレガントに解くのは至難なパズル」が成立します。解法の行数や実行速度は他のプレイヤーと比較されてクリア後の画面に表示されますから、プレイヤーは単に解くだけではなく、「より少ないコード」や「より速いコード」を求めて試行錯誤をすることになります。これもまた、Zachtronicsによって製作されるゲームに共通する特徴と言えます。
ようやく「Opus Magnum」のお話になります。ぼくがこのゲームをお勧めする理由は、日本語化されているからです。Zachtronics製のゲームで日本語化されているのは、このゲームと「SpaceChem」の二本しかないのですが、「SpaceChem」は「原子を組み合わせて指定された分子を作れ」といった内容のゲームでして入門者には度が過ぎるので、易しめかつ素敵なストーリーも付いている「Opus Magnum」をチョイスしました。このゲームでプレイヤーが行うのは錬金術です。「ふしぎな材料」を組み合わせて「ふしぎな薬」を作り出しましょう。このゲームも例に洩れず「解くだけなら簡単、エレガントに解くのは至難」という特徴を備えておりますし、プレイヤーが作成した装置のパフォーマンスはネットを介して他のプレイヤーと比較されますから、それをモチベーションとしてやり込むことができます。また、作り出した装置が稼働している様子をGIF画像として出力する機能を使えば、インスタにアップしてモテることもできます。
リンク:このようなものをつくれます。
最後に一つだけ注意点を述べます。このゲームはZachtronicsのフォロワーからは「とっつきやすい入門者向けタイトル」と言われていますが、あくまでもそれは相対的な評価であり、変態向けのゲームであることには変わりがありません。