1953年茨城県生まれ。東京農業大学栄養学科卒業。著書に『粗食のすすめ』、『なぜ「粗食」が体にいいのか』、『世にも恐ろしい「糖質制限ダイエット』、『なぜ、子どもはピーマンが嫌いなのか?』など。
以下、彼のブログの2018年12月17日の記事『子どもは何もわかっていないという錯覚』より抜粋
味噌汁を飲んでくれません?
Q:3歳の子どもがいます。あまり野菜を好まないので、味噌汁にたくさん入れて食べるようにしています。ところが最近、その味噌汁を飲んでくれません。どうしたらいいでしょうか?
A:最近、というのがよくわからないのですが、少し暖かくなってから飲まなくなってきたのではないでしょうか。私たち大人の場合も、暖かくなってくると味噌汁が飲みにくく感じることがあります。もっと暑くなると、味噌汁ではなくお吸い物が飲みたいと思うことがあります。ましてや、野菜に限らず、具のたくさん入った味噌汁は飲みにくく感じるようになります。逆に、寒くなってくるとけんちん汁、豚汁、あるいは粕汁や呉汁(大豆)など、具の多い味噌汁やとろみがある汁物を美味しく感じるものです。鍋物なども夏場にやる人はめったにいないと思います。寒くなっとき、具の多い鍋物は汁にとろみがでることで冷めにくく、体も温まって美味しく感じるのではないでしょうか。所詮、液体とはいえ、暖かくなってくると、汁の濃度が濃いと重く感じるのだと思います。だから、さっぱりしたお吸い物が美味しいのでしょう。夏の食べ物、そう麺やひやむぎの「汁」もあっさりしたものばかりではないでしょうか。
お子さんに野菜を食べさせたい気持ちはわかります。味噌汁に入れると、どんな食品でも食べやすくなるのも事実です。でも、少し考え過ぎです。味噌汁は、文字通り「汁」を飲むものです。味噌汁は、味噌と出汁のきいた汁を飲むことに意味があります。味噌汁は野菜の味噌煮込みではありません。朝から、昨晩の寄せ鍋の残り物のような味噌汁をだされたら、私たち大人でもゲップがでそうな気持になります。これから温かくなってくると、なおさら、そう感じるはずです。
お子さんが「嫌がる」ことは、「どうしたらいいか」と考える前に、「何か意味があるのではないか?」と考えるといい場合が多いものです。
高校生の頃、「学問に真剣に取り組もう!」と思って、まず人間に大切なのは、きちんとした食生活だと思い、学問を志した時に初めて買った本。正しい食生活は玄米菜食ではないか?とテキトーに考えていたら、彼は欧米の食生活だけではなく、玄米菜食も否定していて、栄養学の大学に行ったのにその栄養学も否定していて、とても面白いと思った。そして、幕内秀夫氏の本の文章に彼の食生活の学問の深さを感じ、学問とはこういうものか、と感動した物である。