どんな人にも、コンプレックスや他人には言えない秘密がある。映画のキャラクターは、それらを大げさに描きつつ、共感させるものだが、本作は、このパターンを完璧に実現した好例だ。ビューティ・コンテストに出る夢を持つ9歳のオリーヴが、「リトル・ミス・サンシャイン」というコンテストに繰り上げ出場することが決定。家族はミニバスを借り、会場のあるロサンゼルスを目指す。ヘロイン中毒の祖父や、一言も口をきかない兄、ゲイで自殺未遂を起こしたばかりのおじさんなど、問題だらけの彼らには、予想どおり波乱の道中が待つのであった。
オープニングの食事シーンだけで、家族全員の性格と役割が伝わってくるなど、演出と脚本、演技のすばらしさに感心するばかり。故障したミニバスを押しながら発進させるシーンに象徴されるように、家族のチームワークが余儀なくされるにつれ、それぞれが問題を乗り越えていく姿は観ていて微笑ましい。走る車内にカメラを据えるなど、低予算ならではの凝った映像も見どころ。強く美しい者が優れているという、現代アメリカ社会へのアンチテーゼも込められたラストは、家族の絆と各キャラへの愛おしさが最高潮に達し、目頭が熱くなる。笑いとともに人間への愛を見つめた秀作。(斉藤博昭)
普段、アメリカのコメディは見ないが、この映画は超おすすめ。ストーリーは面白いし、とにかく主要キャラがみんな変わってる。とくに息子役や祖父役の人がいい味出してた。息子は、家族みんなを憎むほど嫌いで、一切口を聞かないと宣言し、実際に映画の中では家族全員と談筆で会話する。この息子が、妹とのひょんな会話からショックな事実を知り、ショックを受けるシーンは、気持ちを揺さぶるいい演技。
祖父は、いきなりコカインを吸うシーンで始まり、歯に衣着せぬ発言で嫁や自分の息子を罵倒するが、実際には、言葉は悪いがすごく優しい。孫娘の夢を一生懸命支えようとしたり、息子に対しても慰めようとしたりするいい人だ。
何度でも見れそうな、いい映画。ちなみに、この息子役の人は、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」にも田舎の牧師役で出ていて、ぶっとだいい演技だった。この映画もおすすめ。