人間の勇気や愛憎、裏切りが素晴らしいストーリーで描かれていて、映像音楽とも良いです。

 第一話の冒頭シーンがまずグロく、全体を通して結構グロいので、そういうのが嫌いな人はやめておいた方がいいと思いますが、私は話が面白くてつい見続けてしまいました。各シーズン10話前後で第8シーズンまであり、合計73話なので、全部観るのは結構時間がかかりますが、まあ楽しみが長く続くと思えば。

 後半でのホーダーやシェイのエピソードは非常に良かったと思います。ただ最終シーズンを評価している人には会ったことがなく、有終の美を飾れなかったことはちょっと残念。

注意

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 メインテーマ(音楽)のセンチメンタルな感じが、かぐや姫の儚さ、ひいては我々の人生の儚さに通じて、ぐっと来るところがよい。

 アゴが長くて、性格に難のある帝は、裕福でも不幸な人生を示唆し、捨丸にいちゃんとはたとえ妻子を捨てさせていっとき盛り上がっても、その後の生活感溢れる貧乏暮らしから、また別の人生の不幸を示唆させる。人間の暮らしでは、かぐや姫のような持てる者でも、一切皆苦であることが示されている。

 サブタイトルである「姫の犯した罪と罰」が何かについては、いくつかレビューを読んでみたのですが、今一つしっくりこない。かぐや姫の罪は、涅槃に入ったかぐや姫が煩悩のある暮らしに興味を持ったこと、らしいのですが、もともとの仏教における涅槃は、そのように出入り自由なものという認識が私にはなく、かぐや姫は輪廻で、天に生まれただけではないのか? 涅槃と天を混同していないか? たとえ出入り自由だったとしても、なぜ人間の暮らしに興味を持つのが罪になるのか? というところが今一つわからず。誰かわかる方がいれば、教えてもらえないでしょうか。

 余談ですが、プロデューサーの西村義明氏による「悲惨日誌」が圧巻。彼は高畑監督にこの映画の製作を引き受けてもらうために、週6日一日10時間一年以上高畑監督宅に通い詰めて説得にあたっていたとのこと。すごい仕事があったものだ・・・。