97年のアジア通貨危機前夜を匂わせるように終始纏わり付く緊張感と日常に生きる少女ウニの半径5mで揺らぐ他者との関わりが混ざり合っては分離したりする無軌道なナラティブに酔いしれてしまった。何度呼びかけても応答しない酩酊したような母親のボヤけた残像とこの世のことわりを教授するメンターヨンジのノンシャランめいた存在感は14才の少女にとっての”不思議で美しい世界”の目印として記憶の狭間で断続していくのだろう。「わたしの人生はいつか輝くのでしょうか?」の問いに困惑しながら、ひたすらに水をすくい上げる日々です。

メタファー地獄にグラつく真相と現在地。
「あると思うのではなく ないということをわすれる」世界同時に多発する搾取と格差。
敬愛する作家の原作を敬愛する映像作家が実写化するっていうこの多幸、とはいえその肌触りは余りにヒリついた現実という名の地獄でしかないように。死刑台のエレベーター。