広大な大空とその生涯のほとんどを空の生活で過ごす人々、階級制度の残る古臭い世界観に油の匂いがスクリーンから伝わってきそうなスチームパンク満載の舞台装置、政府の陰謀によって騒乱に巻き込まれていく"少年少女"の冒険譚。

冒頭文に惹かれた方には是非鑑賞して頂きたい。

非常に特異な世界観で、スムーズにその世界へ没入出来ればそこらの作品では得られない感動がある。

作中で世界観について語られることは少ない割に、造語が多くSF考察モノのような非常に重厚な設定でありながら、視聴者への想像の余地を広く残した懐の深い作品。

シナリオのキーワードはパイロットと飛空挺ヴァンシップ。

国同士の陰謀や対立とは無縁に、"グランドストリーム"と呼ばれる前人未到の大嵐を超え、その先のまだ見ぬ"世界"を知ることだけを夢に生きるバディ。

国家の騒乱の隙間を抜け、彼らは"世界の外側"を見ることが叶うのか?

今の時代の作品では希薄となってしまった、さながら旧作ジブリのファンタジーに感じられたような、その"ロマン"溢れる情景に心を焦がして欲しい。

『よき風と共に』