日本画の巨匠です。野山や里や海など、風景の絵を沢山描いています。
若い頃は写実的な画風で、中年頃からデフォルメされ抽象的な表現へ移行していきます。
パッと見、ほんわかして鮮やかな色味で可愛らしく、入り込みやすい絵なのですが、描かれている線や色面が非常に厳選されています。
私の実体験では、美術館で何枚か絵を見た後に、外へ出て実際の木々や野原や空を見ると「なんかすごく竹喬っぽい」と視覚されました。それは「作者の見た特定の風景」を描いているだけではなく「様々な土地で見られる自然の風景の共通性」を表しているのだと感じました。洗練された造形で描画されるのは、植物の形態や気候等による物質の見え方の本質なのではないでしょうか。
感動した私は竹喬を「ヴァルールの魔術師」と呼ぶことにしました。ヴァルール=色相・明度・彩度の相関関係(仏語/美術用語)の調整が異常に上手いので…!