自己満で書いてます

人は皆、自分の家だけが全ての帰ってくる居場所じゃないと教えてくれた作品だと感じた。

不安を揺さぶる派手な音楽とは違い、静かな圧倒が押し寄せ続けた。観る者の人生や価値観を揺さぶり、頭の隅にすっぽりとハマり、忘れがたい2時間だと感じている。

本作には都市部やビル群がほぼ姿を見せない。登場するのは延々と続く道。天然の石、大自然の公園、恐竜のオブジェ。その中で、人は誰かの生き方に合わせる義務もなければ、貨幣経済に縛られる必要もない。目の前に広がる果てしない風景は時に寂寥感に覆われることもあれば、希望を感じるほど光に満ちることもある。大切な皿はいつか割れて大地の一部と化す。その全てを抱きしめながら、自らの手で選択を重ねて、アメリカ国土を移動していくのが主人公だ。

僕は、その主人公に鑑賞途中どこかどこかと同情してしまう気持ちになるのだ、何故だろうと考え、その終着点、その物の正体が寂しさと感じている、その寂しさがより一層映画を引き立たせる。

荒野で会った友とは、またどこで会うかも知らず、その日その日と思い出を積み重ねる、そんな日は永遠と続くわけがなく、いつか別れの時が来る。その日が来た日には友に言う。

「またそのうち、どこかで」