藤田和日郎先生の大傑作少年漫画、映像化作品です。

舞台は現代の日本が中心ですが、内容は自動人形と呼ばれる強敵と相対する3人のメインキャラクター、

彼らの成長や数奇な運命を辿るアクションダークファンタジー作品ですね。

メインは三人と言いつつも、そもそも物語の重要ポジションにいる登場人物自体が多く、張り巡らされた伏線がシナリオの中に

非常に緻密に織り込まれており、少年漫画として鑑賞すると難解な作品です。

本来は(長編)漫画原作ということもあり、その情報量がシナリオをカバーしているため、特に映像化に不向きであることを放映前は懸念していました。

(実際長尺モノは注力しなければならないシーンやセリフが、各所に分散してしまって全体で観るとイマイチ...となることが多いですね。)

このアニメの素晴らしいところは、シナリオの分かり易さよりも原作者が描きたかったであろう"作品の本質"だけにしっかりフォーカスした作品であるということです。

どれだけ緻密で丁寧なシナリオであっても少年漫画です。

主人公達の成長や挫折、喜怒哀楽すべてに熱量が無ければ得られるカタルシスもありません。

本作のキーワードは「笑顔」というありふれた言葉ですが、それを口にする、守る、または自ら実行する作中のキャラクター達の説得力は漫画を超えた凄まじいものがあります。

主題歌においても、劇中の独特なセリフをそのまま歌詞に切り取ってきたかのような、見事な解釈だと感じますね。

提供音楽、スタッフ、声優全てに恵まれた作品です。

現実の世界で心をすり潰しながら"人形 "のように学生/社会人生活を送っている方、鑑賞された後にきっと自身の体温が上がっていることに気付くでしょう。

「俺は、俺になりてぇんだよ」と。