宮本武蔵 全8巻(吉川英治歴史時代文庫)(書籍)
【読み】 みやもとむさしぜんはちかんよしかわえいじれきしじだいぶんこ
宮本武蔵 全8巻(吉川英治歴史時代文庫)(書籍)【 みやもとむさしぜんはちかんよしかわえいじれきしじだいぶんこ】

吉川英治の新聞小説。朝日新聞に連載されたこの作品は、1935年の8月23日から、4年後の1939年7月11日まで続いた。

二天一流の開祖でもある剣豪宮本武蔵の成長を描き、剣禅一如を目指す求道者・宮本武蔵を描いたこの作品は、日中戦争から太平洋戦争へと向かう戦時下で人気を得た。

戦後GHQの事後検閲で引っかからないようにするため吉川自身によるかなりの箇所の改訂が行われている

みんなの感想

注意

ネタバレが含まれています!

太平洋戦争前の作品とは知らなんだ。必ずしも史実ではなく作者の創作が多いらしい。

普遍的な何かを捉えた作品なのか古さをあまり感じなかった。、例えば第一巻などは昭和のヤンキーものに置き換えても成立しそうな内容だ。

武蔵は13歳で人を殺めている。兵法者との力比べのようなものだったらしいが、幼い相手に油断もあったのか兵法者者は死んでしまう、それも撲殺。体格に恵まれ、人を撲殺するような少年。あることをきっかけに恐れられ、村人、役人から追われる身に。

孤立無援な彼を救ったのは頓智のある坊主(結構偉い人)と身寄りのない美?少女(以後ストーカー)、そして牙を抜くために木に縛られる折檻。

8巻もあるので主人公以外の人物像も細かに描かれており、むしろ主人公の武蔵以外のサイドストーリーが面白い。

吉岡染めなど京都の歴史や文化にもちょこちょこ触れるのも楽しい。

共に村を出た有力者の息子、又八。武蔵が精進して夢を実現させていく一方、又八は色、金、あらゆる誘惑におもしろいように転落していく……むしろこちらの方が人間らしい気もするが……。

最終巻あたりではアーティスト武蔵になるのもご愛敬。いや実は方々に含蓄の隠れた名作かと、なぜ武芸者がその心持になったのか……。

肝心のチャンバラはこれまた目から鱗の大活劇?刮目して見よ。