" ルールその1:「ファイトクラブ」のことは誰にも言うな。"

デヴィット・フィンチャー監督作品の中でも、一際尖った怪作「Fight Club」。

タイトルとパッケージに相応しく、砂埃舞う薄暗い地下室で、筋肉バキバキの男が上半身裸で素手のぶん殴り合いを毎夜繰り広げる本作。

主人公(ブラピじゃないほう)のナヨナヨ感も相まって、泥臭いサクセスストーリーが始まる様相だが、実際はそうでもない。

この作品は全編通して漂う狂気性からして、中々のカルト映画。

フィンチャー監督らしい、ミステリーとしてのギミックもかなり仕込まれていて、飽きさせない展開になっているし、

凝った演出、役者の演技、シナリオ構成、どれもが高いクオリティで、何も考えずに視聴してもそれなりにエンタメが味わえる作品ではある。

が、上述した内容はこの作品の"本質"ではない。

本作の名もなき主人公は、それすなわち"自分自身の投影"。

自分を取り巻く環境や、各々キャラクターによる哲学的な問いかけ。

非常にいろんな解釈が出来る作品ではあるけど、やっぱり思考が過激すぎてかなり人を選ぶ作品だとも思う。

でも誰しもが彼と同じ"根源"を持っているはず。

そこに共感できれば、きっとそのまま引きずり込まれて彼の生き様が自分の"芯"にぶっ刺さり続けるだろう。

エンディングシーンは爆アチ。最高

痛みを感じろ。苦しみと犠牲が尊いんだ。痛みから逃げるな。人生最高の瞬間を味わえ