"目指せサイコパスマスター"

事実は小説よりも奇なり?なら事実そのまま映像エンタメにしてやるよ!といったテンションを感じるフィンチャー監督らしいエキセントリックな作品。

物語のベースは「FBI心理分析官」と呼ばれる実際のFBI捜査官の手記が元になっており、今でいう「シリアルキラー」呼ばれる単語を生み出した捜査官と、犯罪心理学発展の黎明期に

これまでの異常殺人者と面会して"その犯罪心理をデータベース化"しようという、そのプロファイリングの実態をキレッキレの演出とともに映像化したモノです。

サイコパスをテーマにしながら、グロテスク要素を排除させ"サイコパスの考え方"そのものにスポットを当てた恐怖演出や、ダークなシナリオと一転しポップな音楽と共にテンポよく場面が差し込まれる洗練されたセンス。

何より、実際に猟奇殺人が行われた当時の実資料を持ち出し、当時アメリカを恐怖のどん底に叩き落した有名な猟奇殺人者たち(マンソンファミリー、エド・ケンパー、バーコヴィッツ、スペック...etc)を実名でかつ非常にその容姿の似通った俳優で登場させる、などリアリスティックをとことん追求しています。

既に起きてしまった猟奇殺人のデータベース化と並行して、実際に発生し続ける事件をデータを用いて未然防止するという、事件解決のサスペンス要素も含まれており、飽きさせない展開になっています。

20年以上前の世代が舞台といっても、被害者感情に寄り添えば中々コンプラ的にアウトな作品です、日本で同じような作品をここまでリアルに制作しようものなら批判の嵐でしょう。

このレビューを読んで気分を害さなかった方もまたある意味で素質がある方と思いますが、本作の主人公のように"狂気に魅せられすぎない"よう、ご注意を。